2016.07.21

週1オフィスであとはジョナサン!ぶっとんだ正社員リモートワーカーに衝撃を受けた件

こんにちは。タクスズキ(@TwinTKchan)です。

本日は、株式会社シグナルトークの代表取締役である栢 孝文(かや たかふみ)さんにお話を伺ってきました。

同社の自由な働き方や、独特な制度など面白い話が聞けましたよ。今回も、コデアルの代表である愛宕(あたご)さんとの対談です。

あえてゲームのターゲットをシニア層にする

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愛宕 まずはシグナルトークさんの事業概要を教えていただけますでしょうか?

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 はい。事業としてはオンラインゲームの制作、配信をメインでやっております。自社ブランドのみの運営で外注の制作は行っておりません。

特に人気のあるゲームが「オンライン麻雀 Maru-Jan」です。こちらはユーザーが90万人いて、シニア向けに作っているのが特長です

一般的に、ゲームは若い人向けにつくられるので、ウチは他と違っています。ユーザーは50代が中心で、年齢が上の方ですと80代の方もいらっしゃいます。

シニア層というのはお金と時間に余裕があるので、ゲームとは相性がいいと思っています。

他ですと、健康になれるアプリ「+Try(プラストライ)」を作っています。これは30代の女性向けのサービスです。世の中にあふれた健康情報を整理するために開発しています。

いまは本当かどうかわからない情報がそこら中にあります。そうした情報をビッグデータを使って解析し、正しいと思われる情報をアプリで配信しています。

クリエイターの理想郷を作りたい

愛宕 ありがとうございます。会社として大事にしているのはどんなことでしょうか?

 クリエイターが働きやすい環境を作ることです。クリエイターの理想郷を作りたいと思っています。クリエイターによって理想とする条件は異なると思うんですが(残業が少ない、休みが多い、給料がいい、福利厚生が整っているなど)、それを全部叶えたいんです。

なので、それを実現するための制度を用意しています。その1つが副業の許可です。その際の決まりは1つだけで、必ず申告してから副業を行うということです。

よく驚かれるのですが、ソースコードの流用をOKにしています。特にライブラリは別プロジェクトでも使えるので、そうやって活用する社員もいます。

弊社に、副業でゲームのグラフィックのライブラリを作っている社員がいるんですが、彼がつくったものを弊社のゲームでも利用させてもらっています。

副業するモチベーションとしては、「会社、ひいては他の会社のためになることをしたい」というものがあるようです。たくさん使われることに喜びを感じるという、クリエイターらしい理由で活動していますね

愛宕 おもしろいですね。Appleの創業メンバーである、スティーブ・ウォズニアックの「設計図は無償公開して、みんなでいいものをつくれるようにしよう」という思想に似ていますね。

週1オフィスであとはジョナサン

 また、週1日しか出社しない社員もいます。当然、正社員雇用で保険も入っています。その方は、ほとんどジョナサンにいるそうです(笑)

外でも活動していて、他のゲームクリエイターとコラボもしています。そうやって自分よりすごい人とつながって技術を磨いている社員もいます。

親の介護など家庭の事情でリモートを選ぶワーカーも

 また、親の介護をしながら家でプログラムを書いている社員もいます。その方は、週2日の出勤です。

人生のステージで、親の介護、末期ガンなど、いろんな家庭の事情があるので、それを加味して対応しています。

会社としては、基本的に13時〜18時で出勤していればOKですし、事前に言ってもらえればオフィスにいなくてもいいことにしています

私も、会社にいながらする仕事と、外でする仕事が別であって、こういったルールは大切と感じています。

大きく変わっていく働き方

愛宕 こうした先進的な働き方を推奨している会社は少ないと思うのですが、こうしたスタイルは今後普及していくと思いますか?

 普及していくでしょうね。特にリモートワーク、副業がどんどん当たり前になっていくでしょう。クラウドソーシング、GitHubなどによって社員という概念がなくなっていくとも感じています

愛宕 リモートワークはネガティブな面とポジティブな面が2つあると思っていて、依頼側がコストを安くしようとして働き手に正当な対価を渡さないのはネガティブなことだと思っています。そうした点を解消するために、コデアルでは最低報酬額を設けています。

ポジティブな面だと、クリエイターが働きやすい環境を作れるということですよね。クリエイティブな仕事だと、一人で集中できることが大切ですからね。

理解のある会社に優秀な人材が集まっていく

愛宕 また、介護などライフステージが変わることによって、優秀なクリエイターの活動が制限されるのはもったいないことです。

そういった意味で、週5日でオフィスに来ないリモートワーカーも正社員として雇用し、社会保険料の負担もしている会社は素晴らしいと思います

今後は、そうした理解ある会社に人が集まっていくはずです。

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会社は無くなる。労働者はネット上の口コミで評価されるようになる

 あと、将来的には食べログのような評価制度を利用した会社ができていくと思うんです。ネット上に雇っている社員の評価が蓄積されていって、それが会社をまたいでも受け継がれていく、といった感じで。

これはクラウドソーシングのシステムに似ています。イケてる人がクラウドソーシングに現れる理由は、個人への評価が残ってしまうからです。後々まで影響してしまいますからね。そうなると、仕事の単価が安くなってしまうわけですよ。このように、緊張感が保たれるため、クラウドソーシングにはいい仕事をする人がいるんですよ。

愛宕 ウーバーにも似ていますよね。評価が残ってしまうという点では。グーグルの検索エンジンもそうです。

転職での評価リセットは過去のものに

 これからは評価が重要になっていきます。

食べログを見るとわかりますが、昔は一期一会だったので、適当な料理を出していても問題はなかったわけですよ。そのお客さんは一生来ない可能性が高かったわけですし。その人の評価も知ることができなかった。でも、ネットに評価が残る時代である今、すべてのお客さんにちゃんとした料理を出さないと生き残れなくなりました。

こうしたことは仕事でも起きるはずです。

仕事のアーカイブが消せない時代に

 今は、転職で働く人の評価がリセットされます。例えば、Aという会社では失敗したけど、次のBという会社ではそういったマイナスの影響を受けず、仕切り直して働くことができます。

これは、逆も然りです。Cという会社で成功していても、その実績が次の会社Dでは評価されないことがありますよね。

でも、これからはどんな会社で働いたとしても、ネット上に評価が残るので、その人の活動(アーカイブ)は消すことができなくなります。そうなると、誠実に仕事をする人が増えていきます。

今は、その評価がスコア化されていませんが、いずれ数字で出るようになります。そこで年収の格差も出てくるでしょう。

お金より信用が大切な時代へ

愛宕 同感です。今ってお金より信用の方が大事ですよね。インターネットで評価が残り続けてしまうので。

「誰と一緒に仕事したか」が見えますし、それが信頼にもなります。シビアな世の中になることは間違いないでしょう

 こうした評価システムはどんどん進化していき、人工知能を使った評価も出てくるはずです。

人工知能的なものが人を評価する時代は絶対に来ます。

今は人が点数をつけていますよね。例えば、ちゃんと仕事をしていなくても、「あの人には義理があるから」「よくおごってもらうから」という理由で、そこそこの点数をつけてしまう、という感じで。

でも、人工知能が評価するようになれば、それは通用しなくなります。成果でシビアに点数をつけられてしまいますから。

後編に続く

書いた人の情報

タクスズキ

プロブロガー&IT小商い研究家。ブログ「らふらく」を書いて生活している89世代。

Twitter:@TwinTKchan

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