本日は株式会社BECのCTO、 黒瀬瑛之さんとコデアル株式会社CEO愛宕の対談です。

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愛宕 まずBECの事業についてご説明頂けますでしょうか?

黒瀬 Gozalというサービスをやっていまして、一言でいいますと起業したり会社を運営するときに必要となるバックオフィス業務を自動化するサービスです。

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参照:https://gozal.cc/

愛宕 基本は創業間もない会社さんが使われるのでしょうか?

黒瀬 そうですね、基本的にはそうですけれども、会社を運営するという意味では中堅企業様にも使っていただけるようにしようと思っています。今後フリーランスの方にも使っていただけるようにするかもしれません。

愛宕 最近小規模な会社増えてきてますよね?

黒瀬 そもそも起業家を増やすと言っても、起業をためらう理由の2・3割が「手続きが難しそう」だったり「敷居が高い」ということなんですよね。その辺の手続きが自動化されればもっと起業家が増えると思います。実は政府も各種手続きをAPI化していて、その辺と連携させているのですが、これが進むと手続きは全部オンラインでできるようになると思います。

現状は企業の基本情報を入力してもらうことで各種書類を自動で生成するところまでを提供しているのですが、問題は政府のAPIを使うために、起業家の方に電子証明書を取得してもらわないといけないんですよ。その後に、その証明書を僕らに預けてもらわないといけないんです。その辺がスムーズにできるようになるとこの流れはさらに加速していくと思います。

お金は個人の評価・信用に置き換わる

愛宕 御社でやられているようなことが発展すると、より小さな会社がビジネスをやれる仕組みが整ってくると思います。今後30年でどんな働き方があるのでしょうか?

黒瀬 最終的に今の働き方とは全然違うものになると思います。今は生活資金を稼ぐためにしょうがないから月~金で働いているという方も多いと思いますが、あらゆるものが自動化されると、暮らしていくのにそもそもあまりお金かからなくなります。今しょうがなくやっている仕事は全部ロボットに置き換わっていくと思っています。

愛宕 これから仕事をする必要がよりなくなってくるかもしれませんね。

黒瀬 そうですね、そもそもお金は物を交換するための手段として使われていますけど、実際は政府が信用を担保してくれているただの紙です。これがインターネット上で信用度が可視化できるようになったら、お金自体がなくなるかもしれないな、とも思いますよね。現に弊社ではクラウドソーシングを使って15万円くらいでロゴを発注したんですが、それに対してサービス内の下位クラス(サイト内の評価が低い)デザイナーしか応募してくれなかったんですよ。なかなかいいロゴが集まらないなぁと思いながら、上位クラス(サイト内の評価が高い)のデザイナーのポートフォリオ眺めていたら、クオリティの高いロゴばっかりで、倍くらいのお金出して直接その人に依頼すればよかったってその時思いました。

愛宕 今の黒瀬さんのお話を聞いても、仕事上の信頼がインターネット上で残っていく時代になりつつあるように思います。インターネット上にお仕事上における信用がたまっていく時代というのは、よくも悪くも過去の信用が残り続けてしまいますよね。

黒瀬 昔は組織の中でのみ信用を高めていく方法を考えれば良かったですけど、インターネット上に信用度が可視化されるようになると、個人としてどうなのかというところに焦点があたるようになりますよね。もちろんその中の1つとして組織内でどう立ち回れる人なのかという軸もあると思いますが。

モテたいなら突き抜けなければいけない

愛宕 今後自動化が進むことで働く時間自体が減ると思いますが、人は余った時間でお金に代わるような信用をどうやって獲得するのでしょうか?

黒瀬 単純労働は自動化されていくと考えると、人間の快楽に対して的確に刺さるもの(面白い遊びとか)を創造して提供することで評価を獲得していくんじゃないでしょうか。今は仕事とはこういうものだという固定概念があるので違和感を感じるかもしれませんが、今ある仕事の中には昔の人からしたら遊んでいるようにしか見えないものがいくつもあると思います。そういう働き方は時代が変わればすんなり受け入れられるのではないかと思います。

愛宕 より遊びと仕事が近づいていくということでしょうか?

黒瀬 少なくともポジティブな働き方じゃないと競争力を持てなくなると思います。「好きなことで生きていく」というと楽そうでいいなとか思われるんですけど、一般的に想像する以上に大変なことだと思います。結局評価というのは相対的なものなので、信用や評価を得るためには「好きなこと」で他人より突き抜けることが求められます。評価を得たいと思わない人もいると思いますが、評価を得ることの根本的な欲求は他人からモテたいという気持ちがあると思うので、多くの人が深層心理ではそのような欲求をもっているのではないかと思います。これまでも小学校の頃は足が速い人がモテたり、大人になるとお金持ちがモテたりと、周りの環境や評価軸にそった競争が繰り広げられてきました。その軸が今よりももっと多様化し、「好きなこと」で集まった者同士の競争になるだけで結局その中で突き抜けることが求められ、突き抜けるという言葉の性質上、これも相対評価なので実際に突き抜けられるのはほんの一握りということになると思います。

愛宕 確かに、その人がイケメンだったり、お金持ちだったりであればいいですけど、そうでなければ別の切り口考えていかなければならないですよねw

黒瀬 語弊がないように言わせていただくと、これは心のすごい奥にあるもので、常々モテたいと思っているわけではないです笑。最近健康のために毎日ジムに行ってるんですけれども、たまに他人のウェイトと比較して見栄を張っている自分に気がつきます。さらに、あの人と同じことをやっていては同じくらいの筋力しかつかないからもっと工夫しないとというような感じで勝手に競争していたりします。知らぬ間にいかに突き抜けるかということを考えているんですよね。「好きなこと」に挑戦するときも同じように競争したり見栄をはったりすることが起こるんじゃないかと思っています。「好きなことで生きていく」というと気ままに楽して生きれそうと思いがちですが、競争に勝つためには、好きかどうかが曖昧になるくらい大変な努力が求められると思いますし、最終的にはそれでもやり切る情熱が必要になると思います。

愛宕 多様化する中で、自ら新しい職種を作っていかなければいけないかもしれませんね。

黒瀬 でもどんな人でもしばらく話していると、実はこういう人だったんだ、とか、何かしら情熱を傾けられるものを持っている気がするんですよ。既存の概念に縛られずに、自分の「好きなこと」を見つけて、それに傾倒する方が楽しいと思うんですよね。

エンジニアにとって一番大切なのは技術ではない、その答えは自分の中にある

愛宕 黒瀬さんご自身の話もお聞きしたいです。大学は情報系で卒業されて、新卒でサイバーエージェント、その後BECとのことですが、早い段階からインターネットに触れていたのでしょうか?

黒瀬 一応インターネット自体には触れていたんですけど、大学時代はずっとアメフトやっていて、留年もしてますし笑 情報系と言っても、もともと情報系は候補の一つでしかなくて、機械・メーカー系行こうと思ってたんですよ。情報系に行こうと思ってからちゃんと勉強しました。

愛宕 私も大学の専攻が経済だったんで、会社に入ってアルバイトして、プログラムを書く機会を頂いていました。それだとやはり大変だったのでは?

黒瀬 はじめは大変でした。ただフェーズや事業形態によると思いますが、特定のエンジニアスキルはあまり重要ではないと思っているんです。特にウェブ業界で言うと個々の技術はどんどん変化するので、それに適応できるように根本原理を理解しておくことの方が大切です。さらに言えば、今やっている技術はどんどん自動化されていくので、そのような中では人が何を求めているのかを自分で考えて形にできることの重要性がどんどん増してくると思います。

愛宕 それぞれ専門技能は違うと思いますが、私たちの会社でもユーザーのためにサービスを作っているので、誰の意見かは関係なくて、ユーザーに届けたい価値、体験はなんなのか?を話すことが多いです。

黒瀬 このスキルがあるからこれを作ります、というより、何を作りたいかを考えてその過程で技術を使うという考え方のほうがしっくりきますね。どうしてもエンジニアというとプログラミング、プログラミング、ってなってしまいがちですけど、まずはじめにやるのはいわゆる手に職とかエンジニアリングスキルとかではなくて、自分の中で何をしたいのかという答えを探すことなんじゃないかと思います。最近はエンジニアスキルを持った人が取り急ぎ求められているので、エンジニアリングスキルを身につけないとと思っている人も多いと思いますが、その結果やりたいことではなかったり、言われたものを作っているだけでは結局淘汰されてしまうと思います。

愛宕 実は作らないことを提案できるエンジニアの方が偉いのかもしれませんね。

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