2017.10.26

関係者それぞれの視点から見たリモートワーク導入のメリットとは?有限会社エコネットワークス代表取締役野澤様インタビュー

本日は有限会社エコネットワークス代表の野澤様と「すべての人にリモートワークを」のミッションを掲げるコデアル株式会社代表取締役愛宕の対談インタビューです。関係者それぞれの視点から見たリモートワーク導入のメリットについてお話をお伺いしました。

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愛宕 最初に御社の事業内容を教えてください。

野澤 弊社では環境CSRの領域を対象としたコンサルティングとコミュニケーション支援を行っています。企業が社会の課題に対して取り組み、ステークホルダーと対話しながら活動を改善していくお手伝いを行っています。関わっているメンバーは、フルタイムで4名、あとは様々な形で年間100名ほどと一緒に仕事をしています。個人で事業をしていたり、子育て中であったりと、様々な背景を持っており、フルタイム含め全員がリモートで仕事しています。関東在住ですぐに会えるメンバーは数名のみで、約1/3のメンバーは海外在住です。

愛宕 グローバルにリモートワークを実践されている企業なのですね。エコネットワークスでは、「リモートワーク実践ブック」というリモートワークについてのレポートを発表されているかと思います。一方で、コデアルでは「すべての人にリモートワークを」というミッションを掲げ、コデアルという高収入×リモートワークの求人サービスを運営させて頂いています。今回はリモートワークについてお互いの知見をぜひ対談できればと、この日を楽しみにしておりました!

野澤 ご紹介頂いた「リモートワーク実践ブック」は、ワーカー、マネジャー、経営者、クライアントと、異なる立場の視点からリモートワークを実践する上でのポイントについて、これまで蓄積してきたノウハウを整理したものです。あらゆる個人がこれらの異なる視点を互いに理解することが重要だと考えていて、すべてのパートに目を通していただけたらと考えています。

愛宕 とてもよくわかります。リモートワークを導入する側のしやすさでいうと、メンバー全員がリモートワークをしている、もしくはオフィスにいる人の数が少数派のほうががやりやすいですよね。よくあるパターンで、例えば10人のメンバーがいて、ひとりだけが別なところにいてリモートワークをしようとすると、どうしてもコミュニケーションの方法が多数派に合わせたものになってしまって、リモートワークをしているその1人と齟齬が生じやすくなってしまします。コデアル株式会社におけるリモートワークの導入という話でいえば、最初は私が一人で立ち上げて、なかなか人も来てくれないから在宅でいいか、みたいなところからはじまっているので、振り返ってみると、最初からリモートワークを選択していたので、そういう意味では導入しやすかった側面があると思います。

野澤 私の場合も入社した時からリモートワークだったので抵抗はありませんでした。

愛宕 野澤さんはオフィスに来て働くことが主流の現在から、どうしたらもっとリモートワークが広がっていくと思いますか。

野澤 普通にオフィスに出社して働いている人も、満員電車が嫌だな、とか、今日は台風だから早く帰りたいな、とか、我慢していることがあるはずなんですよね。そうしたものを「出社が当たり前」とただ受け入れるのではなくて、素直に吐きだして共有し、なんとかできないかと前向きな思考になることが大切だと思っています。シンプルな話で、我慢して効率が悪いことをなくすにはどうしたらいいか、組織で吸い上げていって、そこで合意してスタートすると早いと思いますね。

愛宕 リモートワークを導入するにあたって、個人的には書いて伝えることが得意な方はリモートワークに向いていると思います。チャットベースでのコミュニケーション量が増えますから。ただ今後さらに先の未来をみると、私は音声による入力インターフェースがより主流になってくると思っているので、よりリモートワークすることの敷居は下がると思っています。

野澤 そうした判断は難しいですね。個人の性質と業務プロセスの両方があると思うんですけど、人に合わせるのか、業務に合わせるのかみたいなところがあって、結構悩むと思います。何を基準にして考えるかが大切だと思います。その軸がなくただ導入しようとしても難しいですよね。

愛宕 良いか悪いかは分からないのですが、現在のコデアル株式会社では、「このツールを使うから、こういう業務フローでやっていこう」という風にやっています。人に合わせて業務プロセスを設計しても良いとは思うのですが、例えばチャットツールやタスク管理ツールなど、ツールに合わせるような形で情報を共有したり、情報を引き継いだりできるような設計にしておきたいという気持ちがあります。他の人に引継ぎたいけど暗黙知が多くて引き継げないとなると、本人もずっと忙しいままですし、引き継がれる相手もきちんと引き継ぎをしてもらえないですし、サービスを提供されるユーザーの体験も損なわれますし、誰にとってもよくないと思っているからです。

野澤 それはわかります。ちなみに、規模の大きな会社でリモートワークを導入しようと思った場合ってどうなんでしょうか。私たちは小さな組織なので、規模が大きくなった場合に導入の仕方や難易度がどうなるのかというのは気になりますね。もちろん一斉に導入するとかでなく、一部導入のような形で小さく始めることもできるとは思いますが。

愛宕 弊社の高収入×リモートワークの求人サービス「コデアル」でお取引のある上場企業様の一例では、やはり部署やチームなど、一部導入のような形からはじめるケースが多いですね。以前に比べて随分導入事例も増えてきてるように感じます。また大きな会社の方がリモートワークを導入するメリットは大きいと思います。

リモートで仕事をする前提の場合、SlackChatWorkのようなツール上でコミュニケーションをとってログが残る形になりますよね。私が新卒で入った会社は、上場企業で規模の大きな数百名規模の会社だったのですが、自分の近くにいる人達が何をしてるのかがあまり見えていませんでした。

組織が大きくなり、チームが分かれてくると、そこでコミュニケーションをメールや口頭ベースでの閉じた世界で済ませてしまうことで、情報の共有ができなくなります。また、他者の視点が入ってこないため、問題を問題として気づくことも難しくなると思っています。

大きなチーム、組織だからこそ、情報共有の価値と情報共有に基づく意思決定の影響度合いが大きくなることを考えると、リモートワークの導入メリットはむしろ大きなチーム、組織のほうが大きいと私は考えています。

野澤 私たちの場合は、ログを残す、情報をすべて共有するというやり方は必ずしもしていなくて、分散型で、個々のプロジェクトで完結し、自立してできるだけ情報共有の必要がないように動いています。弊社では一つ一つのプロジェクトが小さく、最大でも7~8人程度で3〜4ヶ月で終わるような規模です。

愛宕 規模や期間によってそこは異なりそうですね。ちなみにどういったチームであればリモートワークは適していると思いますか。

野澤 そうですね。メンバーの年齢やライフスタイル、性格などに多様性があると、リモートワークを導入するメリットが出てくると思っています。逆にそのあたりが画一的なチームの場合はリモートワークを導入する必要性が生じないかもしれません。

愛宕 なるほど。極端な話、メンバー全員が20代の独身男性で一つの仕事をバリバリやりたい、みたいな感じだとオフィスでずっと仕事をしている方がいいかもしれないですね。他方で、家庭を持ったり、副業などで複数の仕事がしたいなど多様な背景を持つメンバー構成の場合はリモートワークの方が良さそうですね。

あとは、集まっているメンバーがリモートワークに慣れているか?という影響、リモートワークを実現するためのツールが社内に導入されているのか?という影響もあります。

例えば、コデアルを利用してくださっている企業様は現在300社ほどいらっしゃるのですが、その全てにお伺いして細かいケアを常に行うというのは難しいです。だからチャットベースやビデオ通話でのやりとりを顧客接点の起点とさせていただいて、リモートでの対応を可能にしています。それがサービスの改善の早さにもつながっています。まだまだ改善の余地は多いというのが本音ですが。。。

野澤 良いですね。現場でしかできない業務を除けば、ほとんどの仕事は切り出してリモートでやることは可能だと思います。導入の妨げになっているのは意識と制度だと思うんですよね。ただ、メリットも多いリモートワークですが、あくまで働き方のスタイルのひとつでしかありません。自分自身がどんな働き方がしたいか、向いているのかを考えることが大切で、その上で選択肢として誰でもリモートワークを選べる環境にすることが重要です。

愛宕 それについて思っていることがあって、私たちが提供しているリモートワークの求人サービス「コデアル」におけるアプローチは、まず1度、実際に働いてみて、その後で継続するかどうかを決めようというスタイルでやっているんです。

例えば能力的なところでいくと、あるひとつの能力が一定ラインに満たない人がいたとしても、そこを補ってくれるメンバーがいればチームとして問題ない、みたいなことってありますよね。集団で働く関係性の中で発揮される能力というのがあると私たちは考えています。面接は1対1の関係性です。でも実際に働くとなると、チームで仕事をすることになります。チームで仕事をした時に求職者様と企業様がいい関係になれるか?は、実際に仕事における関係性、1対多の関係性を試してみることがもっともミスマッチを減らすことにつながると考えています。

働き方についても同様で、副業でパラレルに働けるようにしてみたり、リモートでやってみたり、そういったことをまずは1度やってみて、そのあとどうするか決める。コデアルではそれを「ワーキングリクルーティング」という風に呼んで推進しています。結婚する前に同棲してみるような感覚に近いですねw

野澤 それは採用側だけでなく、採用される側にも一度一緒にやってみた後で、決定権があるということですよね。弊社でも同様に、小さな仕事を一緒にやってみてから、お互いこの人となら仕事ができそう、と感じた方と関わりを深めていくという手順を踏んでいます。

愛宕 少し話が変わるのですが、製品やサービスの企画で思うことは、様々な体験をしていないと、良いものは作れないんじゃないかという気がしています。子供と公園に行った時に感じる感覚とか、海外に行った時にまったく知らない文化に触れた時に感じる感覚とか。そういった感覚を他の人に届けたい、生み出したいみたいなモチベーションも様々な新しい体験をしていないと湧いてこないんじゃないかと思うことがあります。企画職に限った話ではなくて、どこでも働けて、収入を得て、暮らせる。働き方にとらわれずに、色々な経験を詰めるというのは大事だと思うんですよね。まぁ私自身がそういう働き方がしたいだけかもしれないですけどwコデアルというサービスは自分自身が使いたいものを作りたいという気持ちでチームで一丸となって作っています。

野澤 私もそういうのは大事だと思います。先日、今回は基本仕事はしないと決めて、ブラジルに3週間ほど長期休暇で行ってきました。場所を変えることのメリットは本人にもあるのですが、長期間抜けることで、一歩引いて見られたり、業務を整理することにつながったり、私がいない間に引き継ぐ現場も責任感を持って対応したりと、組織にとってのメリットも感じました。

愛宕 リモートワークからはじまって、働き方についてまで話が広がりましたが、最後に何かあれば一言お願いします!

野澤

今回まとめたリモートワーク実践ブックは個人の視点でまとめたものなので、今度は小さな組織の経営という視点で、法務だったり人事だったり労務だったり、チームのマネジメントだったりを研究して、ノウハウを整理していきたいなと思っています。

愛宕 本日はありがとうございました!

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