2019.01.08

複業のポイント「時間配分」と「期待値調整」とは?パラレルマーケター小島英揮さんにインタビュー

働き方改革が進み、複業をする人・考えている人が増えつつあります。さあ始めよう!と思っても、業務を進めるうえでの時間配分など、気になることは様々。複業を楽しく行うためにも不安を払拭して始めたいものです。

本日は、パラレルマーケター・小島 英揮さんに、即戦力の複業求人サイト「コデアル」を運営する、コデアル株式会社代表愛宕より複業を進める際の時間配分について・会社への期待値調整の方法など、複業に関する疑問をお伺いしました。

(執筆:高橋まりな / 取材:愛宕)

パラレルキャリアをスタートしたきっかけ

愛宕:小島さんがパラレルキャリアをスタートしたきっかけは何ですか?

小島:2016年にAWSを辞める際に、複数の会社でマーケティングに携わりたいというアイデアはありました。しかし、年金支給開始時期がおそらく70歳になると考えると、あと20年は第一線で活躍できないといけない。そうすると単なるコンサルタントではダメで、AIや決済といった今後成長するマーケットで、自分にインプットができるポジションでも仕事をしたかった。また単に自分の時間を分割するのではなく、よりスケールする働き方をしたいと思い、今に至ります。

愛宕
:なるほど。現在はどのくらいの会社とお仕事をされているのでしょうか?

小島名刺を持っているのが5社、プロジェクト単位で参画しているのが5プロジェクトくらいです。「●●社の中の小島」として見られていい、また、見ていただきたい時は名刺を持つことが多いですね。期間限定のアドバイザーとしてジョインする場合は基本名刺を持ちません。

愛宕:支援に入る際に、気を付けていることは何かありますか?

小島:社長や事業責任者からの依頼が多いのですが、支援内容について「それはなぜ必要なのか」「そのためにどういった動きが必要なのか」を経営陣、現場の方にも双方に説明し、合意いただくようにしています。現場で共に動く人たちを見て、社長や事業責任者が「何をしているのか」とならないようにしていますね。

愛宕:そういった仕事はどのような経緯でいただくことが多いですか?

小島:口コミが多いですね。 こちらからアプローチしたのは外資系の会社1社のみです。

愛宕:仕事はどのように受けているのでしょうか?

小島:一部個人で受けているものもありますが、基本的には私の会社名義で業務委託として受けることが多いですね。パラレルキャリアをスタートして数ヶ月経ってから、会社組織があった方が契約や社会保険の手続きが容易だと感じ、合同会社を設立しました。

パラレルキャリア先を「3つのレイヤーに分ける」

愛宕:ちなみに、10社/プロジェクトを並行してサポートしていく際に、どのように業務を進めていますか?

小島:パラレルキャリア先を「代走」(プラン+実行主体)/「伴走」(プラン+実行管理(マネジメント))/「コーチ」(プランと実行へのアドバイス)の3つのレイヤーに分けています。このように時間の切り分けをすると1日24時間がスケールし、アウトプット・インプット量も断然増えるんです。そのためにも、知っていることをガイドする「顧問」のような仕事だけでなく、自分が主体的に取り組む仕事もないと知識はどんどん枯れていくと思っており、バランスよく業務に取り組むようにしていますね。

愛宕:具体的にそれぞれどのような業務内容になるのでしょうか?

小島「代走」は現地でミートアップや、コミュニティのオーガナイズそのものを自ら行うことが多いです。「伴走」は マーケティングダイレクター等としてマーケティングのチームと共に施策を作ったり、実行のガイドをしたりしています。実行そのものはチームでできることが多いですね。「コーチ」は会社のプロジェクトが動いているけれど、取り組むのは全員初めてということが多いので、僕が知っていることは全部お伝えしています。また、「やり方はわかっているけれど実行に移せていない」もしくは「何回か失敗しているので先回りしてガイドしていただきたい」という場合もあります。名刺を持っているのは「代走」と「伴走」のみですね。「コーチ」のポジションで名刺を持つと、「(社内の)他のプロジェクトでも同じようにアドバイスをしてくださるんですよね」ということになり、周りからの期待値調整が難しくなるので、持たないようにしています。

愛宕:プロジェクトで取り組んでいる仕事はどのくらいの期間になるのでしょうか?

小島「コーチ」は6ヶ月と決めています。例えば、ある会社で「代走」「伴走」のポジションで仕事に入るとすると、競合の仕事は受けれないので、「ある特定の分野」で1社から仕事を受ける際は慎重に選んでいます。ですが、6ケ月と終わりが決まっていれば、その制約期間も少なくなるわけで、もっと柔軟にいろんな会社のお話も受けられる。コーチのポジションにはそういうメリットがあると思っています。
一方、他のパラレルキャリアの方を見ていて違和感を覚えるのが、同じレイヤーで仕事を増やす方が多いということ。そうするとビジネスの規模が拡大しないので、「それなら1社に集約して働いていたほうが良かったのではないか」とさえ思います。自分の経験からすると、「代走」1:「伴走」3:「コーチ」5くらいの割合で取り組むとバランスが良いと思います。

チームメンバーとのコミュニケーションには、オフラインミーティングも取り入れる

愛宕:「伴走」の場合、現場のチームメンバーとのやり取りも多いと思いますが、どのようにコミュニケーションを取っていますか?

小島Slack等でチャットのチャンネルを作りつつ、必ず会う機会を設けています。ホワイトボードがある部屋で、全員でコンテキストを共有していますね。例えて言うならば「登る山」を共有するのが大事なんです。高尾山か富士山かエベレストか。いつまでに登って、いつまでに帰って来るか。今3合目にいるのであれば、5合目に行く方法を考える。決して登る山を変えてはダメだという話をしますね。「その山に登ることが、どうしてこの会社に必要なことなのか」も考えます。もちろん、熱量やコンテキストがピッタリ合っていればオンラインミーティングのみでも大丈夫ですが、ビジネスは日々状況が粛々と変わるので、オフラインミーティングの機会を持つのは大切です。僕はオンラインで進捗確認、オフラインで合意形成という手法を取っています。

小島:あとは、物事が進まなくなっている時「因数分解」という言葉を使います。何が原因で進まなくなっているか、何がそもそもの問題なのかを分析していますね。メンバーを変えても、根本の要因を直さないと同じ結果になってしまうので。

トップと話す時は「なぜやるのか」「誰に伝えるのか」が肝

愛宕:トップと話す時は何を意識していますか?

小島「なぜそれをやらなければいけないか」説明できるかどうかを見ています。それに応じて「御社のリソースはどのくらいあるか」や「何をすると目標に近くなるか」などの期待値調整をしています。ただ単に「流行りだから」というのは危険ですね。もう少し具体的に言うと「誰の期待値を集めるのか」を考えています。僕はよく「全員を相手にしないのがマーケティング」と表現します。「使ってほしい人のパイをどのくらいとるのか」と「使ってほしい人の総数を増やす」のは違うやり方なので、まずどちらを取るのか話をします。

愛宕:なるほど!参考になります。ちなみに、小島さんが一番得意なマーケティング手法は何ですか?

小島
:どうしてもコミュニティマーケティング周りの依頼をいただくことが多いのですが、自分自身はオールラウンダーなマーケターだと思っていますので、リードマネジメントから、イベント、プロダクト、デジタルマーケ等々、その会社、チームに必要な機能を強化できるように努めています。マーケティングは、やはり全体俯瞰ができることが重要なのであまり特定分野だけにスタックしない方がいいですね。

愛宕:今日はご自身が実際に実践されてきたパラレルワークで抑えるべきポイントについて、わかりやすくお話していただき、ありがとうございました!

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