2016.08.24

SHIROBAKOに学ぶIT業界の行方:デジタルサーカス株式会社CTO長谷川さんインタビュー【後編】

前編に引き続き、デジタルサーカス株式会社長谷川さんにお話を伺っていきます。後編ではいよいよIT業界の働き方について聞いていきます。アニメ業界とIT業界の関連性とは?

その前にデジタルサーカス株式会社について簡単に紹介しましょう。
主にオープンソースのCMS、Drupalの導入・カスタマイズの支援を行なっている会社です。
degitalcircus
参照:http://www.dgcircus.com/

愛でチームは固まる

愛宕 長谷川さんはアルバイトで最初にデジタルサーカス株式会社で働き始めて、その後CTOになられているとのことですが、なぜこの会社でバイトをやり始めたのでしょうか?

長谷川 紹介ですね。塾講師みたいな作業より楽しそうな仕事だったので。その頃たくさん周りにスタートアップはありましたけど、たまたま17年続いた会社だったのはラッキーですね。

愛宕 ということは多くの会社様の栄枯盛衰を見てらっしゃいますね。続く会社と続かない会社の違いはどう感じましたか?

長谷川 確かに、当時一緒に仕事をしていた会社は結構なくなってしまいましたね。弊社では、メンバーをお客さま先への常駐が前提となるお仕事はお断りしているのですが、メンバーの常駐が前提となっているところはなくなってしまった印象があります。常駐するとエンジニアの帰属意識がなくなってしまうからかもしれませんね。そう考えるとリモートワークでは何を持って帰属意識を持つんですかね。

愛宕 私はプロダクトを通じてだと思っています。プロダクトベースでメンバーは繋がり、エンドユーザーに評価されるようなプロダクトを作ってビジネスをやっている会社はリモートワークにより向いているのではないか?という考えがあります。プロダクトへの愛がどれだけメンバーの中であるか?は非常に大切なことだと思っています。

長谷川 人間って愛があると固まれますよね笑 昔の人たちは会社愛で繋がっていたのでしょうね。今はプロダクト愛の形もありってことでしょうね。

最近SHIROBAKOというアニメを見まして、アニメ業界は今のIT業界の30年先を行っていると思いました。アニメ制作会社があるアニメを制作する時に、制作会社の社員なのは制作進行だけで、監督も音響効果も、原画も動画も全員フリーランスの人で、制作進行の人が間を取り持っている。アニメが終われば解散して、次のアニメが始まると人を揃えるんです。

SHIROBAKOの中で、このままだと私の仕事がなくなってしまうかもしれないって新卒のアニメーターの子が言うんですよ。つまり自分の実力がないと食えなくなっていくっていう。ITはまだ雇用ベースでやっているので、将来性を見てくれますけれども、アニメ業界はもっとシビアなんですね。リモートワークはそれを助長する気がします。

でももっと言いたいのは、アニメ業界はそういうシビアなところだけれども、制作物への愛がものすごく強いんですね。愛でチームが固まっているのを強く感じます。その意味で、プロダクトの愛で求心力を持たせるようなCODEAL(コデアル)のサービスは正しいでしょうね。

正社員もフリーランス的に働くことも必要

愛宕 正社員・フリーランスといった働き方に絡めて、組織はどのように変わっていくと思いますか?

長谷川 僕今会社をやらせていただいていて、野球型の組織ではなくてサッカー型の組織が重要だと言います。サッカーには4・2・3・1と言ったフォーメーションがあって、攻撃の時にはサイドバックが上がってくるなど、フェーズによって自分のポジションを変えながらプレーします。みんなが自分だけの範囲を持っていてはダメで、形を変えながら全体を埋めるように働かなければいけないと思っています。そう言った意味で全員がある意味フリーランス的に働ける感性を持っていなければいけないと思っています。

僕たちの仕事はチームメンバーに対する、会社に対する、お客様に対するサービス業です。チームメンバーにサービスしないと仕事がなくなっちゃうし、会社に対してサービスしないと給料が上がらないし、お客様に対してサービスしないと会社が回らない。正社員であろうとフリーランス的に働くことは必要かもしれませんね。

続く会社とは?

愛宕 最後になりますけれども、長谷川さんが考える続く会社というのはどんな会社なのでしょうか?

長谷川 まずみんながその会社なり、プロダクトなりが好きでないといけないでしょうね。会社が嫌いだという人が多くなってくるとダメかなと思います。それと自分たちが何かというのを定義できている会社。うちの場合は社是があって、自由・オープン・フェアというのですけれども、迷った時に、この社是に従って選べるんですよね。

ビジネスとして利益を刻めるように変化をすることも重要ですね。僕がここに来た時には時代的にもPerlでプログラムを書いていて、それからExcelやAccessのVBA、そのあとはPHPを使い始めました。あるところでスマホアプリの開発をよくやるようになって、今はDrupalをやるようになっています。言語や技術にこだわらないで、その時に一番問題解決に適したものを使うのは重要です。

ダーウィンが言うように、会社も個人も変化に適応できる適者生存ですよね。結果的には変わっていける人が生き残るかもしれませんね。IITエンジニアもリモートワークに力を得て変わっていくかもしれないし、ITエンジニアが人として模索するべきは技術もそうだし、ワークスタイルもそうですが、変化にどうついていくかかもしれないですね。

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